江戸時代に流通した穴あき銭一枚を指し、最も価値の低い通貨単位であった。転じて、ごくわずかな金額や、取るに足りない物事の喩えとしても用いられる。
下文とは、院宮や検非違使庁、幕府、寺社などの上位の機関や身分の高い者から、下位の者に対して発せられた公文書を指す。
互文とは、対句形式の二つの文において、一方に述べられた内容を他方では省略し、互いに補い合うことで完全な意味を成す修辞法を指す。例えば、「天長地久」は、天が長く地が久しいことを、それぞれの句が補完し合って表現したものである。
天文とは、天体の運行や宇宙に生じる諸現象を研究する学問分野を指す。また、天体観測や天体現象そのものを意味することもある。例えば「東京天文台」のように用いられる。なお、「てんぶん」と読む場合は、年号の一つを表す。
文雅とは、詩歌や文章を創作し鑑賞する風雅な道を指し、また、洗練され上品な趣のある様子を表す。
文教とは、学問や教育を通じて人々を教え導くことを指す。また、そのような教化や指導全般、特に文部科学省が所管する教育行政に関わる分野を意味し、教育施設が集中する地区などを指して用いられる。
文月は陰暦七月の異称で、文披月とも呼ばれる。七夕の行事に因み、短冊に詩歌や文字を書いて技芸の上達を願う風習からこの名が生まれたとされる。
文献とは、研究や調査の基礎となる文書や書物を指す。その語源は『論語』にあり、「文」は文字によって記録されたもの、「献」は賢人の記憶や口伝による知識を意味し、両者が合わさって過去の制度や文物を伝える確かなよりどころとなる典籍を表すようになった。
文庫とは、書物を収蔵する施設や蔵書そのものを指す古い呼称であり、図書館の前身としての意味を持つ。また、一定の主題や形式でまとめられた叢書の名称としても用いられ、特に小型で廉価な普及版の書籍を指す場合もある。さらに、書類や文具を収める箱の意味もあり、多様な文脈で使用される語である。
文案とは、文章の草稿や草案を指す言葉で、正式な文章を作成する前に練り上げる下書きのことを意味します。例えば、挨拶状の文案を練るといったように用いられます。
文語とは、文章を書く際に用いられる言葉を指し、口語に対する書き言葉の総称である。また、特に近代以前の文法体系、主として平安時代の文法を基盤とする言語体系を指し、古文や古典語とほぼ同義として用いられる。
文豪とは、文学史上に確固たる地位を築き、後世にまでその名が伝わる傑出した作家を指す。優れた文章表現や深い思想性によって、文学の分野で卓越した業績を残した人物をいう。
文運とは、学問や文芸、文化全般が栄え発展していく気運や勢いを指す。社会において知識や芸術が盛んになり、文明が向上する動きや機運を表し、その隆盛や衰退が語られる。
文才とは、優れた文章や文学作品を創作するための才能を指す。文章を巧みに構成し、豊かな表現で読み手を引きつける資質をいう。
詩文や小説などの文芸作品を創作することを本分とする人を指し、特に小説家を意味する場合が多い。文人とほぼ同義で用いられるが、時に「三文文士」のように軽んじるニュアンスを伴うこともある。
文藻とは、文章に豊かな彩りや装飾を施す表現の美しさを指し、比喩や修辞などの技巧によって生み出される詩文の情趣をいう。また、転じて、そのような美しい詩文を巧みに作り出す才能や文才の意味でも用いられる。
文致とは、文章に表れた趣や味わい、またその表現の仕方や様式を指す。文章の持つ風情や情感、あるいは書き手の個性がにじみ出るような、全体としての調子や雰囲気を意味する語である。
文章として書き記されたもの。書き付けや書類、記録などを指し、広く文字で記録されたものを意味する。
紙や書類が風でめくれたり動いたりするのを防ぐために、上に置いて重しとして用いる文房具。
いくつかの文が連なり、まとまった思想や感情を表現した言語表現を指す。一般には韻文に対し、散文の形式で書かれたものをいう。
文通とは、手紙を書き送り、それに返事をもらうという形で行われる、人と人との間の通信を指す。特に、面識のない者同士が手紙のやり取りを通じて交流を深める場合に用いられる表現である。
文飾とは、文章や語句を美しく飾り立てることを指し、文章に彩りや装いを施す技法やその表現そのものを意味する。また、より広く物事を整え飾る行為や、その結果としての装いや彩りを表すこともある。
「文身」は「いれずみ」と読み、皮膚に針などで色素を入れて文字や絵柄を刻み込むことを指す。
文学や芸術、学問に携わる人を指し、特に詩文や書画など風雅な事柄を愛好し、それに通じた教養豊かな人をいう。武人と対比されることもある。
文筆とは、文章を書くこと、特に詩歌や小説、評論などの文芸作品を創作する行為を指す。また、そのような活動を生業とすることを文筆業ともいう。
文選とは、活版印刷において原稿に基づいて活字を拾い集める作業を指し、またその作業に従事する者を指すこともある。例えば、「彼は文選工として長年の経験を持つ」のように用いられる。なお、「モンゼン」と読む場合は異なる意味となる。
文脈とは、文章において前後の文や語句の関係から生じる意味の流れや、ある事柄を取り巻く状況や背景を指す。文章を理解する際には、この文脈に沿って内容を把握することが重要であり、また、発言や行動の背後にある状況を読み取る際にも用いられる概念である。
文殊は文殊菩薩の略称であり、知恵を司る菩薩として信仰される。普賢菩薩と対をなし、獅子に乗って釈迦如来の左側に侍するとされる。転じて、凡人でも集まれば優れた知恵が生まれることを「三人寄れば文殊の知恵」と喩える。
文楽とは、義太夫節の語りに合わせて操り人形を動かす人形浄瑠璃の一種であり、江戸時代に発展した日本の伝統芸能である。その名称は、明治期に人形浄瑠璃の劇場として確立した「文楽座」に由来する。
文字を読み書きできない状態を指し、またそのような人をいう。教育の機会に恵まれず、識字能力を獲得していないことを意味する。
文句とは、文章を構成する個々の言葉や表現を指す。また、不満や苦情として述べる主張や言い分を意味する。
文章や書類の中に用いられる言葉や表現を指し、特に契約書や法律文書などにおいて、その内容を構成する個々の語句や条項を意味する。
正文とは、注釈や解説の対象となる主要な文章を指す。また、条約や国際文書において、解釈の基準となる特定の言語で書かれた本文を意味し、例えば国連憲章では英語や中国語など五つの言語による文章がこれに当たる。
白文とは、句読点や返り点などの訓読のための符号が一切付されておらず、注釈も加えられていない、純粋な漢文の原文を指す。
矢に結びつけて敵陣などに射掛け、意思を伝えるために用いられた手紙のこと。
同文とは、同一の文章や文字を指す。特に異なる国家や民族の間で、共通の文字体系が用いられている状況を表す際に用いられる。
文章を書く際の表現の仕方や言葉遣いの特徴を指し、文体や筆致といった書きぶりのことをいう。
文章を書くことで対価を得て生計を立てることを指す。特に、依頼に応じて文章を執筆し、それを報酬の対象とする職業や行為をいう。
邦文とは、日本語で書かれた文章や文書を指す語である。特に、漢文や欧文など外国の文章と対比して、日本語による文章を総称する場合に用いられる。
はっきりと文章に書き表すこと。また、そのように明示された文章や条文を指す。
注文とは、商品や料理などを特定の仕様や数量で取り寄せたり作らせたりすることを指します。また、依頼の際に希望や条件を提示することや、その内容そのものを意味することもあります。
重文とは、一つの文の中に主語と述語の関係が二組以上含まれ、それらが対等に並列している文を指す。また、「重要文化財」の略称としても用いられる。
候文とは、文末を「候(そうろう)」で結ぶ文語体の文章形式を指す。主に中世から近世にかけて、書簡や公文書などで用いられた丁寧な表現様式である。
もととなる文章や草案を指し、文書作成の際に基礎となる原稿や下書きを意味する。例えば報告書や契約書などの作成において、推敲を重ねる前の段階の文章を指して用いられる。
文章を巧みに書く能力に優れていること。また、そのような能力を持つ人を指す。
外国語や古文などの文章を、他の言語や現代語に翻訳したり解釈したりして書き表した文章を指す。
達文とは、文章の構成が優れ、巧みに書かれたものを指す。また、書き手の意図が明確に伝わる、整った文章のことをいう。
思いつくままに気楽に書かれた、形式にとらわれない文章を指す。
誓文とは、誓いの内容を記した文書のことで、特に遊女と客の間で交わされる誓約書を指す。誓書や誓詞、誓紙などとも呼ばれる。
金石や器物などに刻み込まれた文章を指し、その物の由来や記念となる事柄を記したものである。
駄文とは、内容や表現が拙劣で価値の低い文章を指す。また、自身の文章を謙遜して言う場合にも用いられる。
戯文とは、遊び心をもって書かれた文章を指す。また、中国南宋時代に興った南曲を基調とする戯曲のこともいう。
遺文とは、古い時代に書かれた文献で、今日まで伝えられてきたものを指す。また、故人が生前に書き残した文章や書簡など、その人の死後に残された文書のこともいう。
「繁文」とは、細々とした煩わしい飾りや、装飾の多い文章を指す。また、規則や手続きなどが非常に煩雑で込み入っている状態を表す際にも用いられる。
願文とは、仏や菩薩の本願を記した文書を指すほか、神仏への願い事を書き記した祈願の文書、すなわち発願文のことも意味する。
公文(くもん)は、律令制の時代において諸国の国司から中央へ提出される租庸調などに関する文書の総称を指す。また、荘園領主が荘園に対して発給する文書や、公文職という官職の呼称としても用いられた。さらに、特定の禅寺の住職などを任命する幕府の辞令を意味することもある。なお、「こうぶん」と読む場合は、一般に公文書を指す。
文目とは、模様や色合いの違いを指す言葉であり、転じて物事の区別や筋道を意味する。暗闇では文目も分からぬように、物事の道理を弁えぬ愚かさを表す際にも用いられる。
文月は陰暦七月の異称であり、文披月(ふみひらづき)の略とされる。この時期は稲の穂が実る頃で、また七夕に詩歌を献じる風習に因む名とも伝えられる。
文箱とは、手紙や文書を収納・保管するための箱を指す。また、書状を入れて相手に届けるための細長い形状の箱を指す場合もあり、この場合は「状箱」とも呼ばれる。さらに、書物を収めて背負って運搬する箱の意味もあり、この用法では「ふみばこ」と読まれることもある。
文色(あいろ)とは、物事の様子や区別を指す語である。特に、暗がりなどで物の形状や種類がはっきりと判別できない状況を表す際に用いられる。語源は「文目(あやめ)」に由来し、「あやいろ」が転じたものとされる。
文旦はザボンの別称であり、柑橘類の一種である。果皮が厚く、果肉は淡黄色でさわやかな酸味と甘みを持つ。主に九州や四国など温暖な地域で栽培され、「ブンタン」とも読まれる。
文尼とは、仏教において修行を積んだ聖人を指す語であり、特に釈迦を指して用いられる。梵語の音訳に由来し、「牟尼」とも表記する。
平文とは、奈良時代に中国から伝わった漆工芸の技法の一つである。金や銀の薄板を文様の形に切り取り、漆塗りの面に貼り付けた後、さらに漆を塗り重ねて表面を研ぎ出し、文様が漆面とほぼ同じ高さになるように仕上げたものを指す。「ひらもん」とも読む。
告文とは、神仏に対して祈願の内容を記して捧げる文章を指す。また、天子が臣下に下す文書の意にも用いられる。「つげぶみ」とも読む。
文苑とは、文学に携わる人々の世界や交流の場を指し、文人たちが集う文壇を意味する。また、優れた詩文を集めた書物、すなわち文集のことをも指す。
衍文とは、文章の伝写や印刷の過程で誤って挿入された不要な文句を指す。衍字と同様に、本来の文意とは無関係な余分な文字列が混入した状態を表す。
倭文は古代の織物の一種で、楮や麻の繊維を青や赤に染め分け、縞模様を織り出したものを指します。しずりやしずはた、あやぬのとも呼ばれています。
ヒョウの毛皮に特有の斑紋を指し、黒い輪状の模様の中に小さな斑点が散らばるような文様をいう。転じて、そのような模様を意匠として用いたものにもいう。
斯文とは、この学問分野、特に儒教の学問を指す語である。広く学問や教養の道を意味し、その道に携わる者や研究対象として用いられる。
註文とは、商品の購入やサービスの提供を依頼することを指す。特に飲食店で料理を頼む場合や、商品を発注する際に用いられる表現である。
跋文とは、書物の末尾に置かれる文章を指し、著者や編者が著作の経緯や意図、読者への言葉などを記すものである。序文に対応する位置づけにあり、あとがきや跋語とほぼ同義である。
故人の生前の功績や人柄を偲び、その死を悼むために記される文章を指す。主に追悼文集や遺稿集などに収められる。
文章を組み立てて作り上げること。また、そのようにして作り上げられた文章そのものを指す。作文とほぼ同義であり、「せつぶん」「てつぶん」とも読まれる。
闕文とは、文章において文字や語句が欠落している状態、あるいはその欠落部分そのものを指す。欠文とも表記される。
未来の出来事を予言する内容を記した文書を指し、特に古代中国で流行した予言書の一種である。
官庁や公共団体がその権限に基づいて作成し、公の意思や事実を証明するために用いる正式な文書を指す。私文書と対比される概念であり、偽造や変造は法律により重く罰せられる。
手文庫とは、手紙や筆記用具などを収納するために手元に置いて用いる小さな箱を指す。
黒文字はクスノキ科の落葉低木で、樹皮に黒い斑紋があることが特徴である。この斑紋が文字のように見えることからその名がついた。材は芳香を放ち、主につまようじの材料として用いられるため、つまようじそのものを指す別称としても使われる。別表記に「烏樟」や「鉤樟」がある。
湯文字とは、かつて女性が入浴時に用いた腰巻きの一種で、湯巻とも呼ばれる。また、広くは入浴の際に着用する簡易な衣類、すなわち湯帷子を指す場合もある。
金銭をまったく所有していない状態を指す。一文さえも持たないという意味から、極度の貧困や財産の喪失を表す表現である。
「文披月」は「文月(ふみづき)」と同じく旧暦七月の異称である。読みは「ふみひろげづき」で、「ふみひらきづき」とも読まれる。この名称は、稲の穂が実り膨らむ様子を「文(あや)を披く(広げる)」ことに喩えたものとされる。
文字詞とは、言葉の末尾の音節を「もじ」に置き換えて表現する一種の婉曲語で、主に宮中に仕える女房などが用いた。例えば「かもじ」は髪を、「しゃもじ」は杓子を指す。この種の表現は女房詞に分類される。
髪文字とは、女性が髪を結う際に髷の形を整えたり、髪の量を増やしたりするために用いる添え髪のことを指します。入れ髪とも呼ばれ、漢字では「髢」と表記することもあります。
文珠蘭はヒガンバナ科の多年草で、浜辺に自生し、白い花を咲かせる。漢名に由来する名称であり、浜木綿とも表記される。
杓文字は、飯や汁物をすくうための道具を指し、特に飯をよそう際に用いるものをいう。もともと「杓子(しゃくし)」の女房詞として生まれた語で、調理や盛り付けに使われる平たい形状の器具を表す。
「其文字」は、中世から近世にかけて用いられた二人称代名詞で、主に女性が使用した女房詞である。「そなた」の「そ」に「もじ(文字)」を付けた語形であり、親しみを込めて相手(男性)を指す呼びかけとして「あなた」「おまえ」といった意味で用いられた。
烏文木は黒檀の別称であり、特に緻密で堅固な黒色の木材を指す。主に高級家具や工芸品の材料として用いられる。
ごくわずかな金額の喩え。江戸時代の粗悪な銭貨である鐚銭(びたせん)一文に由来し、取るに足らないほどの少額を意味する。
韓文之疵とは、文章の表現や構成に含まれる欠点や不備を指す四字熟語である。特に、文章の論理の破綻や表現の拙さ、あるいは内容の矛盾など、文章としての完成度を損なう要素を総称して用いられる。
開化文明とは、社会が未開の状態から進歩し、文化や制度が発達して洗練された段階に至ることを指す。特に、人間の精神や社会組織が高度に発展し、学問・芸術・道徳などが整備された状態を意味する。
「允文允武」は、文事と武事の両方に優れた才能を備えていることを称える四字熟語である。特に、君主や為政者に対して、学問や教養を表す「文」の徳と、軍事や武勇を表す「武」の徳が共に完璧に備わっていることを褒め称える際に用いられる。その典拠は中国の古典『詩経』の「魯頌」に求められる。
「一文不通」とは、文字を全く読むことができない無学な状態を指す四字熟語である。「一文」は一つの文字を意味し、「不通」は理解できないことを表す。つまり、わずか一字でさえ理解できないほど無教養である様子をいう。
「一文半銭」は、ごくわずかな金額を表す四字熟語である。かつての貨幣単位である「文」と「銭」を用いて、ほんのわずかな金銭のたとえとして用いられる。「半銭」は「きなか」とも読む。