屋烏とは、屋根に止まっている烏のことを指す。この語は「愛屋烏に及ぶ」という成句で用いられ、人を深く愛するあまり、その人に関わるすべてのもの、たとえ屋根にいる烏のような取るに足らないものまでも愛おしく思う心情を表す。
旅烏とは、定まった住処を持たずに各地を渡り歩く者を指す。また、他所から来た者を軽んじて言う語でもある。
烏薬はクスノキ科の常緑低木で、中国を原産とする。暖かい地域では野生化しており、春には淡黄色の小さな花を多数つける。根は連球状に肥大し、独特の芳香を放ち、漢方では健胃薬などに用いられる。別名をテンダイウヤクともいう。
烏鷺は、烏(からす)と鷺(さぎ)を指す語であり、両者の羽色から黒と白を表す。この対比から転じて、黒白の石を用いる囲碁の別称としても用いられる。
烏賊は頭足類に属する軟体動物で、主にコウイカ目とツツイカ目に分類される。円筒形の胴体に十本の足を持ち、外敵に襲われると腹部から墨を吐いて逃げる習性がある。沿岸の海に広く生息し、食用としても親しまれている。その名の由来は、死んだふりをして海面に浮かび、餌と間違えて近づく烏を捕らえるという伝承に基づく。また「墨魚」とも表記される。
「烏滸」は、愚かで道理に合わないこと、あるいはそのような様子を指す。物事が常識から外れており、ばかげているさまを表し、「烏滸な話」のように用いられる。漢字表記としては「尾籠」や「痴」を用いることもある。
烏喙は、文字通りには烏の嘴を指す。転じて、烏の嘴のように突き出た、鋭く尖った口元や、そのような容貌を形容する語として用いられる。また、そのような面相が貪欲さを表すとされることから、欲深い人相の喩えとしても使われる。
烏口は製図用具の一種で、墨やインクを用いて均一な太さの線を引く際に用いられる。先端が鳥のくちばしに似た形状をしており、その間隔を調整することで線の幅を変えることができる。
烏盞とは、黒色の釉薬を施した天目茶碗の一種であり、特に献茶の際に用いられる。表記は「胡盞」とも書く。
ハチクの変種で、小型のタケの一種である。幹は細く、外皮が紫色を帯びた濃い黒色を呈するのが特徴で、観賞用や細工用に栽培される。表記としては「黒竹」とも書く。
ダイズの品種の一つで、種皮が黒色を呈するものを指す。主に正月の料理や煮豆として用いられ、縁起物としても扱われる。漢字では「黒豆」と表記することもある。
烏鵲はカササギを指す語であり、またカササギとカラスを併せて指す場合もある。「ウシャク」と読まれることもある。
烏樟はクスノキ科の落葉低木を指す語で、その樹皮や材が黒みを帯びていることに由来する名である。漢名「烏樟」を訓読みした「くろもじ」とも呼ばれる。
烏集とは、烏の群れが騒がしく無秩序に集まる様子を指し、転じて規律も統一性もなく雑然と集まった集団や状態を喩える表現である。烏合と同義に用いられる。
オモダカ科に属する多年草で、塊茎を食用とする水生植物である。中国原産で、日本では主に水田で栽培される。漢字では「慈姑」とも書き、正月料理などに用いられる。
烏木はカキノキ科に属する常緑高木を指す名称であり、その材質は緻密で黒色を呈することから黒檀とも呼ばれる。この語は漢名に由来し、主に堅く美しい黒色の木材として知られる樹種を指す際に用いられる。
烏臼はトウダイグサ科に属する落葉高木で、漢名に由来する名称である。別名を南京黄櫨(なんきんはぜ)とも呼ばれる。
何首烏はタデ科の蔓性多年草で、中国原産であるが日本各地で野生化している。葉は心臓形でドクダミに似ており、根は塊状となる。名称は漢名に由来し、唐代の何首烏という人物がこの草の根を煎じて服用し長寿を得たという伝説に基づく。
中国原産の半発酵茶の一種で、茶葉を発酵途中で加熱処理し、揉んで乾燥させて仕上げる。烏のように色が黒く、竜の爪のように形が曲がっていることからこの名がついた。
烏骨鶏は東アジア原産の鶏の一品種であり、その特徴として絹糸のように柔らかな白や黒の羽毛を持ち、皮膚や肉、骨までもが暗紫色を呈する。主に観賞用として飼育され、天然記念物に指定されている。
烏文木とは黒檀の別称であり、特に木理が美しく堅硬で漆黒に近い色調を示す高級木材を指す。
烏帽子は、古代日本の成人男子が元服の際に用いた帽子の一種であり、後に神官の装束としても定着した。その形状は独特で、漆を塗って固めた黒い布で作られ、頭頂部が高く伸びている。転じて、過剰に褒めたりおだてたりすることを「烏帽子を着せる」と表現する。読みの「えぼし」は「えぼうし」の縮約形に由来する。
烏の濡れた羽のような、深みのある黒色で、わずかに青みを帯びた光沢を伴う色を指す。単に黒色を意味することもある。
ホタルイカモドキ科に属する小型のイカで、特に富山湾で多く漁獲される。胴長は約六センチメートル程度であり、全身に無数の発光器を備え、青白い光を放つ特徴を持つ。春が旬で食用とされ、マツイカとも呼ばれる。
槍烏賊は、ジンドウイカ科に属するイカの一種で、その名は細長い円錐形の胴体が槍の穂先に似ていることに由来する。日本各地の沿岸に生息し、胴の左右には三角形のひれを持つ。刺身やするめとして食用にされることが多く、ササイカやツツイカ、サヤナガなどの別名がある。表記は「鎗烏賊」とも書く。
鎗烏賊は、ジンドウイカ科に属するイカの一種で、その名は槍のように細長い胴体の形状に由来する。
鯣烏賊は日本近海に分布するイカの一種である。胴長は約三十センチメートルに達し、胴の先端にはひし形のひれを持つ。刺身のほか、するめや塩辛などに加工され、食用として広く利用されている。
囲碁の勝負を指す雅語で、黒石と白石の駆け引きを烏(からす)と鷺(さぎ)の争いに喩えた表現である。転じて、知恵と戦略を駆使した高度な勝負事や、両者が優劣を競う緊迫した対局の様子を意味する。
親孝行の心を謙遜して言い表す四字熟語。烏は雛の世話を受けた恩を成長後に返すとされ、その習性に喩えて、自らの親に対する孝養の志を控えめに述べる表現。李密の「陳情表」に由来する。
烏合之衆とは、烏の群れのように統制がなく、まとまりのない大勢の人々の集まりを指す。特に規律や秩序を欠いた群衆や、そのような状態の軍隊を喩える表現である。故事は『後漢書』に由来する。