寸鉄とは、小さな刃物を指すとともに、鋭く核心を突く短い言葉のたとえとしても用いられる。わずかな武器でも人を殺傷しうるように、簡潔ながら深い意味や鋭い批判を含んだ表現を意味する。
砂鉄とは、岩石中に含まれる磁鉄鉱が風化や浸食によって砕かれ、流水によって運搬された後、河川の底や海岸などに堆積したものを指す。
軟鉄とは、炭素含有量が極めて少ない鉄を指し、その特性として展性や延性に優れているため、鉄板や鉄線などの加工材料として広く用いられている。
鉄を材料として製作された道具や器具の総称を指す。特に考古学においては、鉄器の使用が本格化した時代を「鉄器時代」と呼び、青銅器時代に続く人類の発展段階を示す歴史区分の用語として用いられる。
鉄筋とは、コンクリート構造物の内部に埋め込まれ、引張力に抵抗するために用いられる鋼製の棒を指す。また、この鉄筋を用いたコンクリート構造そのもの、すなわち鉄筋コンクリートの略称としても用いられる。
建築物の骨組みを構成するために用いられる鉄鋼材を指す。主として構造用に圧延加工された鋼材が使用され、建物の強度と耐久性を支える重要な要素となっている。
鉄火とは、真っ赤に焼けた鉄を指すほか、刀剣や鉄砲といった武器を意味し、転じて戦場や修羅場を表す。また、気性が激しく威勢のよい様子を形容する際にも用いられる。料理の分野では、マグロの刺身を用いた鉄火巻きや鉄火丼の略称として使われ、賭博の世界では鉄火打ち、すなわち博徒を指すこともある。
鉄材とは、建築や土木、機械製造などの産業分野において構造材や部材として用いられる鉄製の資材を指す。主に形鋼、平鋼、棒鋼などの形状に加工されたものを総称する。
鉄石とは、鉄と石を指す語であり、転じて非常に固い意志や決意のたとえとして用いられる。特に「鉄石心」の形で、揺るぎない強い心持ちを表現する。
鉄則とは、絶対に変えることのできない、厳格な規則や法則を指す。民主主義の根幹をなす原則や、組織内で固く守られる決まり事など、揺るぎない規範として用いられる。
鉄路とは、鉄道の線路や軌道を指す語であり、特に大陸を横断するような長距離の鉄道を連想させる表現として用いられる。
鉄腸とは、容易に動揺せず揺るぎない強い精神や、堅固な意志を表す語である。鉄のように硬く冷たい心、つまり鉄心や鉄石心と同様の意味を持つ。
鉄葉とは、錫で表面をめっきした薄い鉄板のことを指す。主に錻力とも表記され、かつては玩具や日用品の素材として広く用いられた。
鉄道とは、地上に敷設された軌条の上を車両が走行し、旅客や貨物を輸送する交通機関を指す。
鉄鉢とは、僧侶が托鉢の際に用いる鉄製の鉢のことで、応器とも呼ばれる。
鉄で作られた扉を指す。特に堅固で防犯性の高い門扉として、建物の正門や重要な出入口に設置されることが多い。
鉄瓶とは、鋳鉄製の湯沸かし器のことで、注ぎ口と持ち手となるつるが付いているものを指す。特に岩手県南部地方で生産される南部鉄器の鉄瓶は、その品質の高さで広く知られている。
錬鉄とは、鍛錬を重ねて強靭にした鉄を指す。また、炭素含有量を2%以下に抑えた軟鉄のことをも意味し、鍛鉄に相当する。「ねりかね」と読む場合は、精錬された鉄という意となる。
鉄頭はホウボウ科に属する海魚の一種で、火魚とも呼ばれる。
鉄気(かなけ)とは、水中などに溶け出た鉄分を指す。また、鉄製の鍋などを初めて火にかけた際に生じる赤黒いしぶのこともいう。表記としては「金気」と書く場合もある。
鉄敷(かなしき)は、金属を鍛造する際に用いる鉄製の台を指し、鉄床(かなとこ)とも呼ばれる。漢字表記としては「金敷」と書くこともある。
鉄渋とは、鉄などの金属が酸化して生じた錆が水に混ざり、褐色や赤褐色を帯びた状態を指す。金渋とも表記される。
鉄床は、鍛冶作業において熱した金属を打ち延ばす際に下敷きとして用いる鉄製の台を指す語で、「鉄敷(かなしき)」と同義である。
鉄兜とは、鉄製の防具の一種で、主に戦闘時に弾丸や破片、落下物などから頭部を保護するために用いられる帽子状の装備を指す。
鉄漿は、鉄片を酢などに漬けて作られた液で、お歯黒を付ける際に用いられる。
鉄蕉はソテツ科に属する常緑低木の名称であり、漢名に由来する。同義語として「鉄樹」とも呼ばれ、一般には蘇鉄(ソテツ)として知られる植物を指す。
鉄漿(おはぐろ)とは、歯を黒く染める風習、またはそのために用いる液を指す。奈良時代に上流階級の女性の間に始まり、平安時代後期には貴族の男性にも広まった。江戸時代には既婚女性の身だしなみの一つとされ、「御歯黒」とも表記する。使用する液は「かね」とも呼ばれる。
鉄枴とは、鉄で作られた杖を指す語である。特に老人が歩行の補助として用いる杖を意味し、同義語として鉄杖がある。漢字の「枴」は、杖、特に老人用の杖を表す字である。
鉄砲とは、火薬の爆発力を用いて弾丸を発射する筒状の武器の総称であり、大砲や小銃などを指す。転じて、相撲において両手で相手の胸を強く突き放す技の名ともなる。また、筒状の形状から、風呂釜の一種や細長いかんぴょう巻きの俗称としても用いられる。さらに、狐拳での握り拳を出す手や、猛毒を持つ魚であるフグの異称としても使われることがある。
蹄鉄とは、馬の蹄の底部に取り付けるU字形の鉄製の具であり、蹄の磨耗や損傷から保護する役割を果たす。
肘鉄砲とは、肘を突き出すようにして相手を突きのける動作を指す。転じて、特に恋愛関係において女性が男性の誘いや申し込みを拒絶することを意味し、「肘鉄砲を食わせる」などの表現で用いられる。同義語に「肘鉄」がある。
無鉄砲とは、物事を行う際に前後の状況や結果を考慮せず、向こう見ずに突き進む様を指す。もとは「無手法」や「無点法」が転じた語とされ、軽率で無謀な行動を形容する際に用いられる。
鉄面皮とは、鉄のように硬い顔の皮に喩え、恥知らずで厚かましい様子、あるいはそのような性質を持つ人を指す。厚顔に同じ。
鉄脚梨はバラ科の落葉低木である木瓜(ぼけ)の漢名に由来する名称である。
マメ科の常緑高木で、インドから東南アジアにかけて自生する。鮮やかな黄色で芳香のある花を咲かせ、花後には大きなさやを実らせる。材質は非常に堅く、黒色を帯びて美しい木目を持つため、家具や楽器の用材として珍重される。
鉄製の棒の両端に鉄球を取り付けた運動器具で、主に筋力トレーニングに用いられる。ダンベルの一種である。
鉄火肌とは、気性が激しく、物事にこだわらないさっぱりとした性質を指す。特に女性に対して用いられ、威勢がよく、はっきりとした態度や行動を特徴とする。
鉄条網とは、鉄線を網状に編み、所々に鋭い棘を付けたもので、主に敷地の境界などに張り巡らせて、外部からの侵入を防ぐための柵として用いられる。
鉄床雲とは、積乱雲の上部が発達し、その頂上が水平に広がって鉄床(金敷き)のような形状を呈する雲を指す。主に強い上昇気流によって形成され、しばしば激しい気象現象を伴うことが特徴である。
鉄掃箒はマメ科に属する小低木状の多年草で、漢名に由来する名称である。別名を蓍萩(めどはぎ)ともいう。
キンポウゲ科のつる性落葉低木。中国原産で、茎は細くて硬く暗褐色を呈し、鉄線に例えられる。初夏に白色または淡紫色の花弁状のがく片を六枚つけ、その姿が蓮の花に似ていることからこの名がある。
鉄梃大尽とは、鉄の梃子のように頑丈で丈夫な大金持ちを指す言葉である。財産が堅固で揺るぎないことを、鉄製の梃子に喩えた表現で、主に江戸時代の戯作などに見られる。
鉄の硯が磨り減って穴が開くほどに学問に励むことを意味し、強い意志を持って目標達成まで努力を続けることのたとえ。中国五代の桑維翰が鉄硯を磨り減らすほど勉学に励み、科挙に合格した故事に由来する。
銅頭鉄額とは、銅の頭と鉄の額を持つという意味から、非常に勇猛で強い様子を表す。また、刀や槍が通じないほど堅固な甲冑、あるいはそれを身にまとった兵士のことも指す。『史記』の「五帝紀」正義に由来する四字熟語である。
湯池鉄城とは、城郭が非常に堅固で攻め難い様子を表す四字熟語である。「湯池」は熱湯を湛えた堀を意味し、転じて要害堅固な城の防御施設を指す。文字通り、熱湯の堀と鉄壁の城という意から、いかなる攻撃にも容易には陥落しない強固な守りを喩える表現である。
点鉄成金とは、平凡な文章や表現にわずかな手を加えることで、見事な作品に仕上げることを指す。もとは詩文の修辞技法を喩えた言葉で、後に一般に、些細な工夫や修正によって物事の価値を大きく高めることを意味するようになった。
鉄網珊瑚とは、鉄の網に珊瑚が絡みついた様子を表す四字熟語で、『新唐書』「払菻国伝」に由来する。堅固なものと美しいものが入り混じり、あるいは堅固なものの中に貴重なものが含まれている様子を喩える。
鉄腸石心とは、鉄の腸と石の心臓という意味から、意志が非常に強固で揺るぎない様子を表す四字熟語である。感情に流されず、いかなる困難や誘惑にも動じない堅固な精神の持ち主を指す。
鉄中錚錚とは、多くの鉄の中でも特に良く響く音を出すものを指し、平凡な人々の中にあって、わずかに優れた才能や品格を持つ人物に喩える表現である。『後漢書』「劉盆子伝」に由来する四字熟語で、ごく普通の集団の中で際立ってすぐれた者を評する際に用いられる。
鉄心石腸とは、鉄のように強固な心臓と石のように堅固な胃腸を意味し、いかなる困難や誘惑にも動じない、揺るぎない強い意志と精神の持ち主を喩える四字熟語である。蘇軾の書簡にも見られる表現で、「石心鉄腸」ともいう。