母衣とは、かつて甲冑の背部に取り付けられた袋状の防具で、飛来する矢を防ぐ役割を果たした。また、戦場における装飾や識別のための標識としても用いられた。
衣魚はシミ科の昆虫の総称で、屋内の暗所に生息する。体長は約一センチメートルで、銀白色の体をもつ。衣類や紙類などを食害することからこの名があり、紙魚や蠹魚とも書かれる。
衣被とは、サトイモの子芋を皮付きのまま茹でた料理を指す。秋の味覚として親しまれ、皮を衣のように被せたまま食すことからこの名がある。
更衣(ころもがえ)とは、着ている衣服を取り替えることを指し、特に季節の移り変わりに合わせて夏服と冬服を入れ替える習慣を意味する。また、店舗などの内装や外観を変更する場合にも用いられる。表記は「衣替え」ともする。なお、「コウイ」と読む場合は別の意味を持つ。
更衣は陰暦二月の異称で、草木が生い茂り衣替えをする時期であることに由来する。春の気配が深まり、草木が芽吹き始める様子を「生え更ぎ」と表現し、これが転じて「きさらぎ」と呼ばれるようになったとされる。表記としては「如月」や「衣更着」も用いられる。
更衣とは、衣服を取り替えることを指す。また、平安時代の後宮において女御に次ぐ地位の女官を指し、元来は天皇の衣替えを担当したことに由来する。なお、「ころもがえ」と読む場合は別の意味となる。
明衣(あかは)は、神事や儀式に際して着用される白い礼服を指す。特に清浄を重んじる場面で用いられ、浄衣(じょうえ)とも呼ばれる。元来は天皇が沐浴の後に身にまとう衣服としての由来を持つ。
垣衣(しのぶぐさ)は、主にシノブやノキシノブなどのシダ植物を指す名称である。また、ワスレグサ(別名:忍草)を意味する場合もある。
窃衣はセリ科の二年草で、藪蝨(やぶじらみ)とも呼ばれる。その名は漢名に由来し、果実が衣服に付着する様子を表している。
胞衣とは、出産後に母体から排出される胎盤や卵膜などの総称であり、胎児を包んでいた組織を指す。後産とも呼ばれる。
素衣とは、模様や飾りのない白い衣服を指し、特に白絹で作られた着物を意味する。
胴衣とは、胴着と同じく、上半身に着用する衣服を指す。特に救命胴衣のように、特定の機能を果たすために身につけるものをいうこともある。
被衣とは、平安時代以降に高位の女性が外出時に用いた、頭からかぶって人目を避けるための薄い衣のことを指します。
陰暦九月の異称で、古代中国においてこの時期に冬の衣類を下賜した慣習に由来する。
「御衣」は、着用される方への敬意を込めてその衣服を指す語で、特に身分の高い方の衣服を敬って言う表現です。「お召し物」と同様の意味を持ち、また「みけし」とも読みます。
「御衣(みけし)」は「御衣(おんぞ)」と同じ意味で、天皇や貴人が着用する衣服を指す。特に神事や宮中儀式において用いられる装束を表す語である。
紫衣とは、高位の僧侶が着用する紫色の法衣を指す。かつては朝廷から特に許された僧が身につけることを許されたもので、その色調から尊ばれた。
着衣とは、衣服を身に付ける行為、あるいは身に付けている衣服そのものを指す。医療検査などの場面で「着衣のままで結構です」などと用いられ、着用した状態を意味する。また、「チャクエ」と読まれることもある。
羅衣とは、薄絹で仕立てられた衣服を指す。軽やかで透けるような質感を持つ絹織物を用いた着物のことで、主に夏の装いとして用いられる。
上衣(うわぎ)は、外側に着用する衣服全般を指し、特に厚手のものを羽織る場合に用いられる。また、上下が一揃いとなった服装において、上半身に着る部分を指すこともあり、例えばスーツの上着とズボンのように対をなすものの上半身側を意味する。なお、「上衣」は「ジョウイ」と読む場合もある。
五衣とは、平安時代の女房装束における内衣の一種で、袿を五枚重ねて着ることを指す。この重ね着は、当時の宮中女性の正装として用いられ、色の組み合わせや重ね目の美しさが重視された。
布衣(ホイ)は、官位を持たない者が着用した無紋の狩衣を指し、転じてその身分の人をも意味する。また「フイ」と読む場合は、庶民が身につける麻布の着物、あるいは庶民そのものを表す。
男女が一夜を共にした翌朝、あるいはその朝の別れを指す語。もとは互いの衣服を意味し、共に過ごした夜が明け、それぞれが自分の衣を着る朝の情景に由来する。表記は「後朝」とも書く。
衣笠とは、絹を張った長柄の傘のことで、かつて貴人が外出する際に従者が後ろから差し掛けて日除けや装飾としたものを指す。また、仏像の頭上に飾る天蓋を指す場合もあり、絹傘とも表記される。
肩衣とは、袖のない簡素な衣服で、かつて貧しい身分の人々が着用したものとされる。また、別の用法として、室町時代以降の武士の礼服において、小袖の上に重ねて着る上衣のことも指す。
浄衣は白い衣服を指し、特に神事や祭事に際して着用される清浄な装いを意味する。僧侶が身にまとう白衣もこれに含まれ、白無垢と同様に穢れのない状態を象徴する。なお、「ジョウイ」と読む場合もある。
狭衣(さごろも)とは、衣服や着物を指す古語である。接頭語「さ」が付くことで、単なる「衣」よりも親しみや愛着を込めた表現となっている。
狩衣は、平安時代に貴族が狩猟の際に着用した軽快な衣服に由来する。後に公家や武家の日常着として広く用いられ、中世以降は礼服としての格式も備えるようになった。狩襖とも呼ばれる。
納衣とは、僧侶や尼僧が着用する袈裟のことで、法衣や僧衣とも呼ばれる。修行の場において身にまとう衣服を指し、「衲衣」と表記されることもある。
褐衣は、中世の頃に下級武官などが着用した衣服で、狩衣の脇を縫い合わせたような形状をしている。読みは「かちえ」であり、「かちぎぬ」とも読まれる。「かち」は呉音である。
薄衣とは、薄手の生地で作られた衣服を指す。特に、絹や麻などの薄い布地で仕立てられた着物を意味し、涼しげな風合いが特徴である。夏の装いや軽やかな衣装として用いられ、「薄衣をまとう」などの表現で、その軽やかな様子を表す。また、「うすごろも」とも読まれる。
韓衣(からころも)は、中国風の衣服を指す語であり、転じて立派な衣服を賞賛する表現としても用いられる。また、「ひも」「すそ」など衣服に関連する語に冠する枕詞としても機能し、その表記には「唐衣」も見られる。
戎衣とは、戦場において身にまとう衣服や甲冑の総称を指す語である。
衣裳とは、人が身にまとう衣服の総称を指し、特に儀式や舞台、祭礼などの公の場で着用する装いを意味する。
垢衣とは、汚れや汗じみなどが付着して清潔でない状態の衣服を指す語である。特に長く身に着け、洗濯されずに汚れが蓄積した衣類をいう。
僧侶が身に着ける衣服を指し、特に禅宗の僧の衣をいう。また、転じて僧侶そのもの、特に禅僧を指すこともある。
衣服を洗うことを指し、また洗った衣服そのものを意味する。古風な表現であり、「澣衣」とも表記される。
破れた衣服やぼろぼろの着物を指す。転じて、身なりに頓着せず粗末な服装をしている様子を表し、「破帽」と共に用いて「敝衣破帽」という成句を形成する。表記としては「弊衣」と書くこともある。
煖衣とは、衣服を重ね着して身体を温めることを指し、またそのような厚手の衣服そのものをも意味する。特に「煖衣飽食」という成語においては、衣食に不自由しない安楽な生活の喩えとして用いられる。
摺衣とは、草木から採った汁を布に摺りつけて模様を染め出した衣のことで、摺り衣とも呼ばれる。
黒色の衣服を指す語で、特に墨染めの僧衣を意味し、転じて僧侶そのものを表すこともある。
緋衣は五位の官人が着用した緋色の礼服を指す。大宝令の規定によれば、四位が深緋を着用したのに対し、五位は浅い赤色の衣をまとった。この服装が五位の官位を象徴したことから、転じて五位そのものを指すようになった。
澣衣とは、衣服を水で洗い清める行為を指し、またそのように洗われた衣服そのものを意味する。古くは「浣衣」とも表記された。
布を柔らかくし光沢を出すために、砧で布を打つ作業を指す。
ぼろぼろに破れた衣服を指す語で、長く着用したり痛んだりして布地が擦り切れた着物の状態を表す。特に質素な身なりや貧しい境遇を連想させる表現として用いられる。
鶉衣とは、あちこちに継ぎを当てた粗末な衣服を指す。鶉の羽がまだらな模様に見えることに喩えて、ぼろぼろの着物を表現した語である。
上半身に着用する洋風の下着を指す。また、ワイシャツやポロシャツなど、中着や上着として用いる衣服の総称としても用いられる。
小忌衣は、神事に奉仕する官人が身を清めるために着用する白い装束を指す。清浄を重んじる祭祀の場において、着用者の心身の潔白を象徴するものである。
着衣始とは、江戸時代の正月三が日のうちに吉日を選び、新年に初めて新しい衣服を着用する行事を指す。また、その儀式そのものも意味する。
衣紋竹とは、竹で作られた衣服を掛ける道具を指し、主に夏の衣類を収納する際に用いられる。
衣更着は陰暦二月の異称で、春先の寒さが続くため衣類を重ねて着ることに由来する。表記としては「如月」や「更衣」も用いられる。
居士衣は、隠者や僧侶が着用する羽織状の道服の一種であり、居士の着る衣という意味で「こじごろも」とも呼ばれる。
三途の川のほとりにいるとされる老女の鬼で、死者が渡河する際にその着物を剥ぎ取り、対岸の木の枝にいる懸衣翁に手渡す役目を担うと伝えられる。
糞掃衣とは、僧侶が身にまとう衣のことで、もとは塵芥のように捨てられた布切れを拾い集め、洗い繕って縫い合わせて作られたものである。その名は、文字通り「糞や塵のように捨てられた物」を由来とし、質素倹約と厭離の精神を象徴する。
円頂黒衣は、剃髪して丸く整えた頭に墨染めの衣をまとった姿を指し、僧侶の外見を表す四字熟語である。円頂は頭を丸めることを、黒衣は墨で染めた僧衣を意味する。
衣履弊穿とは、衣服や履物が破れ果ててぼろぼろになっている様子を表す四字熟語である。『荘子』「山木」篇に由来し、長く着用して擦り切れた衣服や靴を指す。転じて、身なりが非常に貧しく見すぼらしい状態を意味する。
衣鉢相伝とは、師匠から弟子へと教えや技芸の奥義を伝え継ぐことを意味する四字熟語である。元来は仏教で、師が弟子に袈裟(衣)と托鉢の鉢(鉢)を授けて法を継承させる儀式に由来し、転じて、学問や芸道などにおける真髄が師弟間で確かに受け継がれる様を表す。
故郷に錦の衣を飾って帰るように、立身出世して栄誉を誇ることを指す。特に、故郷に錦を飾る栄誉を意味する。
「衣錦尚絅」は、『中庸』に由来する四字熟語である。美しい錦の衣の上に、さらに薄い単衣(ひとえ)をまとうことを意味し、内に優れた徳や才能を備えながらも、外にはそれを誇示せず、質素で控えめな態度をとるべきであるという教えを表す。
立身出世を遂げた者が、豪華な衣服を身にまとって故郷に帰ることを意味する。中国の故事に由来し、栄誉を手にし、晴れがましい姿で出身地に戻る様子を表す。