人情とは、人間が生まれながらに持つ、人間らしい感情の総称を指す。特に、他人に対する思いやりや慈しみ、情け深さといった情緒を中心としており、義理と並んで人と人との関係を結ぶ重要な規範とされる。
下情とは、一般民衆の生活実態や心情、社会の底辺に広がる状況を指す。支配層や為政者から見た場合の、庶民の暮らし向きや世の中の実相を表す語である。
内情とは、外部からは見えにくい組織や集団内部の状況や事情を指す。内々の事情や内実とも言い換えられ、外部の事情を意味する外情に対応する概念である。
友人同士の間に生じる親しみや信頼に基づく情愛を指す。互いに理解し合い、支え合うことで育まれる心の絆であり、単なる知り合い以上の深い結びつきを表す。
交情とは、親しい間柄で育まれる心の通い合いを指し、人と人との温かい交流や信頼関係を表す。また、男女の間で情愛を交わす関係を意味することもある。
劣情とは、人間の心に潜む低俗で下劣な感情を指し、特に男女間の情欲を卑しいものとして捉えた表現である。
他人の不幸や苦しみを自分のことのように感じ取り、その心情に寄り添うこと。また、そのような気持ちを相手に向ける行為を指す。
多情とは、異性に対して愛情が移りやすく、気持ちが定まらない様子を指す。また、物事に深く感じ入り、情の豊かな性質を表すこともある。
至情とは、偽りのない真心や誠実な気持ちを指し、人として自然に湧き上がる深い感情のことをいう。物事に全力で取り組む際の真摯な態度や、人間関係において自然に発露する温かな心情を表す。
芳情とは、相手の厚い情けや好意を敬っていう語で、特に目上の人からの心遣いや親切に対して用いられる。
人の生まれつきの性質や気質、またその人の心情や感情のあり方を指す言葉である。特に、その人の持つ穏やかさや優しさといった気立てを表す際に用いられる。
物の性質やありさまを指すとともに、世間の様子や人々の心情を表す語である。特に後者の用法では、世情が穏やかでない状況をいうことが多い。
偽りや作為を交えず、ありのままに表れる心情を指す。飾り気のない素直な感情の動きであり、思ったことを率直に行動や態度に表す性質をいう。
他者から受けた不利益や不快な出来事に対して抱く不満や不平の気持ち、またそれを口に出して述べる言葉を指す。
厚情とは、厚い志や心遣いを意味し、相手に対する深い思いやりや親切な気持ちを表す言葉である。
契情とは、その美貌が国を傾けるほどに優れた絶世の美人を指す語である。また、遊女を指して用いられることもあり、その場合には「傾城」と表記されることもある。
春の情緒や景色を表すとともに、男女間の恋慕や色情を指す語。春の穏やかな情趣や風物を想起させる一方で、情欲や色気といった意味合いも含む。
心の奥底にある偽りのない気持ちや、誠実な本心を指す。特に「衷情を披瀝する」のように、隠さずに打ち明ける対象となる内面の真情を表す。
風情とは、そのものに備わった独特の情緒や趣を指し、特に風流な味わいを感じさせる場合に用いられる。また、様子や気配を表すこともあり、さらに謙遜や軽蔑の意を込めて「…のような者」という意味でも使われる。
特定の相手に対する恋慕の情。心に秘めた恋心を指し、しばしば淡く切ない感情のニュアンスを含む。
偽りのない真実の心、あるいは隠し立てのない本来の気持ちを指す。また、物事の真の姿や実際の状況を意味することもある。
純情とは、素直で飾り気がなく、邪念や汚れのない清らかな心のありようを指す。特に若々しい無垢さや、一途に物事に向かうひたむきな感情の状態を表す。
情愛とは、人と人との間に生じる深い愛情や慈しみの感情を指し、特に互いに心を通わせ愛し合う気持ちを表す。
情炎とは、激しい恋愛感情や欲望が炎のように燃え上がる様を表し、身を焦がすほどの熱情を指す。
外界の事物に触発されて生じる心の動きや、喜怒哀楽などの複雑な心情の総称を指す。特に芸術表現において、内面から湧き上がる情緒や感興が作品に込められる様をいう。
情状とは、ある物事の実際の状況や様子を指す。また、特に法律の分野においては、刑罰を量定する際に考慮すべき行為の動機や結果、犯人の境遇など、事件に関わる一切の事情を意味する。
芸術や道徳、宗教などに対して抱く、洗練され深みのある感情を指す。人間の精神性を豊かにする高次の心情であり、情操教育においてはこのような感情を育むことが重視される。
愛し合う男女が、世間の事情や周囲の反対などによって結ばれないことを悲観し、互いの合意の上で共に自らの命を絶つこと。
情痴とは、情愛、特に色情に溺れて理性を失い、正常な判断ができなくなる状態を指す。
配偶者以外の恋愛関係にある人を指し、情交を結ぶ相手を意味する。
物事に対して心から深く打ち込む、激しく燃え上がるような感情を指す。特定の対象や活動に対して強い愛着や没頭の気持ちを抱き、それを原動力として行動する様子を表す。
情夫とは、正式な婚姻関係にない男性の愛人を指す語で、内縁の関係にある男性や、密かに交際する男性を意味する。
正式な婚姻関係にないが、愛情関係を結んでいる女性を指す。特に、既に配偶者がいる男性と内縁の関係にある女性をいうことが多い。
情報とは、物事の内容や状況に関する知らせを指す。また、判断や行動のよりどころとなる知識や資料のこともいう。
実情を詳しく述べ、特に行政機関などに対して事情を説明し、何らかの措置や対応を求める行為を指す。
理性を失うほどに深く、主として男女間の情愛に執着し、とらわれる心の状態を指す。
慕情とは、特定の人物や場所、あるいは過去の出来事などに対して抱く、深く切ない恋しさや懐かしむ気持ちを指す。心の奥底から湧き上がるような、強く慕わしい感情であり、時に郷愁や恋愛感情を含む。
敵の状況や動向、兵力や配置などの情報を指す。特に軍事作戦において、敵の実態を把握するために探る対象となる。
熱烈な愛情や、物事に対して深く心を動かされ、激しく沸き立つような気持ちを指す。強い思い入れや、行動の原動力となるような激しい感情の状態を表す。
薄情とは、人に対する思いやりや情けの心が乏しく、冷淡な態度をとる様子を指す。特に、愛情や親切心が欠如している状態を表し、人間関係において温かみや配慮に欠ける言動を形容する際に用いられる。
懇情とは、相手に対する深い思いやりや親身な心遣いを意味する。特に、目上の人から受ける厚い情けや、親密な関係に基づく温かい配慮を指し、感謝の念を伴って用いられることが多い。
情宜とは、友人や師弟など、親しい間柄で育まれる心のつながりや情愛を指す。互いの信頼と好意に基づく交わりを意味し、人と人との絆の深さを表す言葉である。
情誼とは、人と人との間に生まれる心の結びつきや、親しみの情を基盤とした義理や厚意を指す。互いの信頼や思いやりに根ざした、人間関係における温かな絆や誠実な交わりのあり方を表す語である。
煽情とは、人々の感情を刺激し、特に興奮や怒りなどの強い感情をかき立てることを指す。扇情とも表記され、主に大衆の感情を揺さぶる言動や表現に対して用いられる。
他人の不幸や苦しみに対して抱く、心を痛めるような思いやりの気持ち。特に、弱い立場にある者や困っている者を見て自然に湧き上がる、いたわりの感情を指す。
人に対する思いやりや温かみ、あるいは人間らしい感情の機微を指す。特に、利害を超えた心の交流や、情け深い態度を表す際に用いられる。
歓楽哀情とは、歓びや楽しみが頂点に達すると、かえって哀しみや物憂い感情が湧き起こるという心境を表す四字熟語である。中国の『文選』に収められる漢武帝の「秋風辞」に由来し、享楽にふけり過ぎることで生じる虚無感や、喜びの極みに潜む悲哀を指す。
烏鳥私情とは、親孝行をしたいという気持ちをへりくだって言う表現である。烏は雛の世話を受けた恩を成長後に返すとされ、その習性に喩えて、子としての孝養の志を謙遜して述べる際に用いられる。中国の李密「陳情表」に由来する四字熟語である。
有情世間とは、仏教用語で、特に『倶舎論』において、生命あるもの、すなわち心(精神作用)を持つ生きとし生けるものの世界を指す。無情の器世間(物質世界)と対比される概念であり、衆生が生存し、苦楽を感受する領域を意味する。
一往深情とは、ある対象に対して一途に深い愛情を注ぐ心情を指す四字熟語である。『世説新語』「任誕」に由来し、特定の人物や物事に心の底から深く傾倒し、揺るぎない思いを抱く様を表す。
異国情緒とは、外国特有の雰囲気や趣を感じさせる情緒を指す。異国の地や事物に触れたときに抱く、その国らしい独特の風情や気分を表し、エキゾチックな趣を帯びた情感をいう。「いこくじょうしょ」とも読む。
「鴒原之情」は、兄弟が互いに助け合い、仲睦まじくする情愛を表す四字熟語である。中国の古典『詩経』の「小雅・常棣」に由来し、鴒(せきれい)が困った時に互いに呼び交わして助け合う習性に喩えて、兄弟間の深い絆と慈しみの情を指す。