「乙甲(めりかり)」とは、邦楽において音の高低や強弱の変化を指す語である。基本となる音より下がる音を「めり」、上がる音を「かり」と称し、旋律やリズムに抑揚をつける技法を意味する。表記は「減上」とも書く。
「甲乙」は邦楽における音の高低を表す語で、基本の音より上がる音を「かる」、下がる音を「める」と称することに由来する。音の上がり下がりを示す「かりめり」や「めりかり」とも同義であり、表記としては「上下」と書く場合もある。なお、「コウオツ」と読む場合は異なる意味となる。
甲所とは、三味線などの弦楽器において、弦を押さえることで決まった音高を得られる位置を指す。転じて、物事の最も重要な部分や要点を意味し、例えば「仕事の甲所を押さえる」のように用いられる。表記は「勘所」や「肝所」と書くこともある。
船の上部に設けられた、広く平らな床面を指す。船体構造の一部であり、乗組員や旅客が歩いたり作業をしたりする場所として用いられる。また、「コウハン」と読むこともある。
甲乙とは、物事の順序や優劣を示す語であり、二者の間に差をつける際に用いられる。また、特定の個人を指さず、誰彼という意味で、区別なく扱う場合にも使われる。読みを「かるめる」とすると、別の意味となる。
手足の甲の部分が通常よりも高く盛り上がっている状態を指す。また、そのような形状に作られた足袋や靴についてもいう。
甲虫とは、体表が硬い外骨格で覆われた昆虫の一群を指す。鞘翅目に分類され、前翅が硬化して甲羅状の鞘翅となり、後翅を保護する特徴を持つ。カブトムシやクワガタ、テントウムシなど多様な種を含み、生態や形態に豊かな変異が見られる。
甲兵とは、鎧と武器を指し、転じて戦争そのものを意味する。また、鎧を着て武装した兵士のことも指す。
甲羅とは、主に亀や蟹などの動物の体を覆う硬い殻を指す。また、人間の背中を喩える表現としても用いられ、例えば「甲羅干し」のように使われる。さらに、長年にわたって積み重ねられた経験や年功を意味することもある。
甲矢とは、二本の矢を携えて射る際に最初に放つ方の矢を指す。対となる後から射る矢は乙矢(おとや)と呼ばれ、また「兄矢」や「早矢」とも表記される。
華甲は数え年で六十一歳を指す呼称である。「華」の字を分解すると「六」「十」「一」となり、「甲」は十干の首位を表すことから、還暦を迎えた翌年の年齢を意味する。
亀甲とは、主に亀の甲羅を指す語である。また、その形状に由来して、六角形が連続する幾何学模様を指すこともあり、文様や工芸の分野で「亀甲形」の略称として用いられる。
装甲とは、戦闘において身体や兵器を保護するために金属板などを装着することを指す。また、軍用車両や艦船の車体・船体に防弾用の鋼板を施すことも意味し、そのような処理を施した車両は装甲車などと呼ばれる。
膝甲は、鎧の付属具の一つで、腰の前から左右に垂らし、股から膝にかけてを防護するもの。脛楯や佩盾とも表記される。
甲冑とは、戦闘において身体を保護するために着用される武具の総称であり、特に胴体を守る鎧(よろい)と頭部を守る兜(かぶと)を指す。主に武士が用いた堅固な防具である。
甲鉢は、かぶとの頭部を覆う主要部分を指す。また、その形状に似た大きなどんぶり鉢を指すこともあり、この場合「兜鉢」と表記されることもある。
甲虫とは、コガネムシ科に属する昆虫の一種で、黒褐色の光沢ある体を持つ。雄は頭部に角を有し、夜間に活動してクヌギなどの樹液を吸う。その角の形状が兜の鍬形に似ていることからこの名があり、「兜虫」とも表記される。
甲子は干支の最初にあたる組み合わせで、十干の甲(きのえ)と十二支の子(ね)とを合わせたものを指す。これにより表される年や月、日をいう。なお、「かっし」と読む場合もある。
ドンコはカワアナゴ科に属する淡水魚で、ハゼの仲間である。本州中部より南の地域の河川や沼に生息し、体色は生息環境によって変化するが、多くは黒褐色を呈する。食用として利用される。
鱗甲とは、魚類の鱗や亀などの甲羅を指す語であり、そこから転じて魚介類全般を意味する。また、鎧の小札のように、金属や革の小さな板を鱗状に連ねた武具の部分をも表す。
鼈甲とは、主にタイマイの甲羅を加工して作られる装飾材料のことで、黄褐色の地に褐色の斑紋が特徴である。櫛や簪、眼鏡の縁などに用いられる。また、広くカメ類の甲羅、特に鼈(スッポン)の甲羅を指すこともあり、こちらは薬用とされる。江戸時代にタイマイの使用が禁じられた際、スッポンの甲羅と称して用いられたことに由来する。
体表が硬い殻で覆われた節足動物の一群を指す。頭胸部と腹部に体節が分かれ、二対の触角を持つことを特徴とする。エビやカニ、シャコなどがこれに含まれる。
甲状腺は、頸部の下方、気管の両側に位置する内分泌腺であり、新陳代謝の促進や成長発育に重要な役割を果たすホルモンを分泌する器官である。
年齢を重ねたことによって備わるべき思慮分別や、それに伴う威厳のことを指す。多くは「年甲斐もなく」という否定の形で用いられ、年齢にふさわしくない軽率な振る舞いを揶揄したり、自嘲したりする表現となる。
肩甲骨は、背部の両側に位置する逆三角形の平たい骨で、腕と胴体を連結する役割を果たす。貝殻のような形状から「かいがらぼね」とも呼ばれる。
センザンコウ科に属する哺乳類の総称で、アジアやアフリカに生息する。歯を持たず、細長い舌を用いてアリやシロアリを捕食する。体表は褐色の松かさ状の硬い鱗で覆われており、外敵に襲われると体を丸めて鱗で身を守る習性を持つ。
ベッコウバチ科に属する蜂の一種で、日本から東南アジアにかけて分布する。体色は黒く、翅は黄褐色を帯びて鼈甲に似た光沢を持つ。雌はクモを捕獲し、地中に掘った穴に運んで産卵し、幼虫の餌とする習性がある。
亀の甲羅や獣の骨を指し、特に中国の殷代に占卜の記録として文字を刻みつけたものをいう。これに記された文字は甲骨文字と呼ばれ、現存する中国最古の文字資料として知られている。
「棄甲曳兵」とは、戦いに敗れて鎧を脱ぎ捨て、武器を引きずりながら逃げ帰る様子を表す。転じて、惨敗して散々なありさまとなることを意味する。『孟子』梁恵王篇に由来する四字熟語である。
戦いの装いを解き、故郷の田園に戻ること。軍務を退いて郷里に帰り、平穏な生活に戻ることを喩える。
「按甲休兵」とは、戦いを止めて軍勢を引き上げることを意味する四字熟語である。「按甲」は鎧を脱いでしまうこと、「休兵」は武器を休ませることを指し、戦闘を中断し平穏な状態に戻る様子を表す。この語は『史記』淮陰侯列伝に由来する。
枕戈寝甲は、武器を枕にして鎧を着たまま寝ることを意味し、常に戦闘に備えて警戒を怠らない様子を表す。『晋書』に典拠を持つ故事成語で、戦時における緊張した状態や、絶えず危険に備える心構えを指す。
甲論乙駁とは、ある意見に対して甲が論じれば乙が反駁し、互いに譲らず議論がまとまらない様子を表す四字熟語である。